おならプスー

『あなたはどうしてWEB日記なんてものを書いているんですか?どうなりたいんですか?』
5月の初めにそう問われたとき、明確な答えを持たない僕は適当なことを、考えられる可能性として頭の中に浮かんだものを話しながらそれっぽくまとめた言葉、を言って誤魔化しておこうと口を開いてみたのだけど、じっと僕を見ている眼差しに気圧されて、なんだかよくわからないけれどなにかそれがとても不誠実なことのように思えた。

電車を見送る彼女の指先が印象的だった

正直「さあ泣かせてくれ」と身構えすぎて泣けなかった。そうでなかったとしても多くの人たちに愛された一生を過ごしたクロを思えばその死に対して悲しい気持ちというのは持てないし、喪失感とか寂しさについては映画では感じられないから、きっと先入観がなかったとしてもこんなもんかなあと思った。ただ、井川比佐志さんが募金をしてきたときにナニカを感じたものだから、きっと僕のスイッチはそのへんにあるのだろうなと思った。あと、別れたばかりの元恋人を交通事故で亡くして心の拠り所を新興宗教に求めた人が「こうすれば煙草を吸っても安全だから」といって僕の100円ライターに手をかざしてナニカを念じてたのを思い出した。

児童書のように字が大きかった

僕たちは歩かない

僕たちは歩かない

1日が2時間だけ長かったとしたらなにができるか。ただしこの小説のルールは、その2時間長い世界があることに気付いている人間としか、増えている2時間は共有できないことになっている。そこで彼らはその2時間を自分の仕事の技術研鑽に費やしていた。やがて同士と巡り合うまで独りぼっちで。単純に彼らと僕とを置き換えたときに、僕は余剰の2時間を仕事のために使うのかといえばそんなことはしないと思う。決してアウトプットはしないと思うんだ。

予告編でいいところ全部観れちゃうんだ

ザ・シューター/極大射程 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

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軍産複合体という言葉の響きに苦笑い混じりの懐かしさを感じる。とはいえJFK暗殺から囁かれているそのテの陰謀説は間違ってないと思ってるのだけど。それに原油の相場が上がってるのも「戦争がないから」とすら思ったりしている。もしかして実用的な電気自動車が世の中に普及し始めると燻っていた火種に燃料が注がれるのでは?とさえ。ハリウッド映画に入り込んでるプロパガンダ*1的な台詞を耳にすると、冷戦からこっちずっとそういう連中に支配されてんのかなとさえ思える。むずかしいことはわかんないんだけどさ。

*1:基本的に言ってみたいだけ。スターウォーズのエピソード1,2,3とか300とか、えー?みたいな台詞があった

便座の蓋を素早く上げたり下げたりとか

ボーン・アルティメイタム [DVD]

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剃刀vsハンドタオルはタオルの圧勝。ヒョードルノゲイラヒクソンも瞬殺しそうな勢い。性別に因るものなのか絶対的な(暴力の)強さと段取りの良さに舌を巻く。実際は巻いたりしないというか巻けないというか「R」の発音は気恥ずかしい。たぶん、裏を返せば死なない安心感なんだろうなと思う。何にそんなに怯えてるのかわからないけれど。それはそうとジェイソン・ボーンの映画を観た後は必ず動作が必要以上に機敏になってしまう。カーテンを閉める速度がいつもの倍とか、歯ブラシに歯磨きチューブを搾り出す動きが機械的だとか。果ては箪笥の角に足の小指をぶつけても痛そうな顔しないでそのまま歩くとか。どんだけ憧れてんだっていう。

千の風にはならない

煙か土か食い物 (講談社ノベルス)

煙か土か食い物 (講談社ノベルス)

「みんな元気」読んだけど合わなかった。と言ったら「熊の場所」かこれなら面白いんじゃないかと薦められて舞城王太郎2冊目。今度は面白かった。差し挟まれるカタカナ表記の英語、あれなんていうんだろ「マザファッカ」とかそういうの、が若干鬱陶しかったけれど面白かった。丸雄や二郎の凶暴さを触りだけ見せておいて後は煽りに徹したところが恐怖の本質という感じで上手だなあと思っていた。のだけど、著者は女性かもしれない説をネットで目にしたときに、あれは狙って伏せたんじゃなくてその先の想像ができなかったんじゃないかと思った。小便ちびるほどの超暴力。よくこんなこと思いつくもんだという過酷な仕打ち。そういうのって想像するのも結構難しい。単にボリュームの問題だったのかもしれないけれど。なにはともあれ苦手だったピーマンが食べられるようになった俺って大人!みたいな感じの清々しさがある。

バニシング・ポイントは観たけど面白かったかどうか忘れた

クエンティン・タランティーノリチャード・リンクレイターのような会話の洪水映画を吹替えで観れる人はある意味凄いと思う。リアルタイムでそれを処理して理解してゆくんだから、そういう映画は字幕ないとツラい。そんでまあ、あの監督が創造する暴力もここまで来たか、というかこんなのもあるのかと驚いた。この脚もうすぐ千切れますよっていう強調がいやらかったし、脇道をニヤつきながらカッ飛んでいくカート・ラッセルのあの面!あの狂気!であった。ラストがああいうシーンになるっていうのは、タランティーノは表裏一体になったサドでマゾなんだろうなって思った。いわゆる濃い嗜好というか。そういう自覚を保安官に代弁させてた気がする。この前の加藤何某っていう男が秋葉原で起こした事件について警察に捕まった後で申し訳ないって言ってるという話を目にしたときに、ピュッとしたらどうでもよくなった、という心境がすぐさま思い浮かんだ。おまえヤリたいだけだったんじゃないのかって。スタントガールがやけにユマ・サーマンに似てるなあと思ってたんだけど、彼女はキルビルで実際にスタントやってた人なのね。

はは、ファッションパンクめ

夫婦茶碗 (新潮文庫)

夫婦茶碗 (新潮文庫)

自堕落なおっさんのクネクネした思考というか、三歩進んで二歩下がって横っ飛びして後方宙返りみたいなあの感じはなんなんだ。いちいちクネクネしやがって。読みながらニヤニヤしてしょうがない。冷蔵庫の卵ポケットの件なんか相当頭おかしい。そのくせ主人公がやけに世の中に反抗的なところなんかパンクだなあと思ったりした。したんだけど、殴られて被害届けはパンクじゃねえだろこの腑抜け野郎!殴り返しちまえよバカ!ベルボーイ!とわけのわからない憤りを覚えて『人間の屑』っていう一緒に収録されてるほうは読まなかった。

仏壇てどうやって捨てるのかな

『オ・オ・タ・ケ・シ・ノ・ブ』といった存在感が際立っていた。そもそも題材が飲み込めなくて全くもってリアリティを感じない筋書きだったのだけど、大竹しのぶさん演じる西野っておばさんの湿り気みたいなものだけが奥歯をギリリとする感じで伝わってきた。テレビ屋とかライターとかの実生活を知っていれば面白いのかもしれないなーという疎外感だけが残った。あと、ダンスのシーンが挿入されているあたり(恋の門でも唐突に始まってた)で松尾スズキさんの戯曲作家としての性(サガ)が発露してるなーとか勝手に思った。いいじゃん思ったって。

無職時代は僕も野球のゲームしてた

第三の役立たず

第三の役立たず

宮部みゆきの『楽園』を借りようと図書館に行ったんだけど置いてなくて代わりに借りてきた本。クワイエットルームで感じた溝を埋めようと涙ぐましい努力をする俺といった風情を醸し出してみた。本命は宮部みゆきだったけど。で、いかんせん内容が古いというか20世紀の本なので若干時代を感じるところがある。松尾さんがインタビュアーとなっていろんな人の話を聞いた様子を綴るという本人曰く「インタビュー+エッセイ=インタセイ」という全く冴えないネーミングあたりからも時代を感じる。なんつうか、徹子ならぬスズキの部屋(アルコール入り)みたいなもの。一人目がエヴァンゲリオン庵野さんという方で、僕はそのアニメを1秒も見たことがないんでよくわからないのだけど、筋書きとか無視して適当にやってみたら勝手に売れた、というようなことが書いてあって羨ましいなあと思った。僕も適当に、喫茶店の紙ナプキンかなんかにサラサラっとペンできたねえようなスケッチを描いたら1000万円ぐらい貰えるとかそういうふうになりたいものだと思った。そんで何人か続いてラストが町田康だった。初対面だったそうで。
町田康については上にも書いたように、例のギタリストに殴られた一件のリアクションがほとほとパンクとは思えない「俺、みんなと甲子園に行く為に我慢したんだ・・・」って言ってるヤンキーに自ら喧嘩を売っておいていざ殴り合いの段になったらビビッて手が出なかったことを誤魔化そうとしている野球少年みたいな存在になっていて、だせえよベルボーイ!と叫ばずにはいられない感じだったので読むのやめようかと思ったのだけど、本の中の彼はまだ20世紀であって殴られてもないので「へっ、どんだけ吼えまくってんだか」という舐めに舐めきった気持ちで読むことにした。そしたらば、なんつうか、違ってた。彼はパンクではなかった。それを自覚してたし、世間との距離感というか世間に置かれている自分と乖離してしまっている自分とのどうしようもなさ表現しようとしている頭のいい人であった。ごめんね町田さん『人間の屑』読みます。

あとがきみたいなもの

というわけで、ダラダラ書いてみたけれど『なにがしたいんですか?』と問われても『さあ?』と首を捻るばかりでよくわからない。たぶん、僕の中には思いつきに対して即座に否定的な意見を述べる奴がいて、思いついた奴がそいつにコテンパンに打ちのめされるのを黙ってみていられない奴がいて、そいつはえらいポジティブというかアクティブというかとにかく動かないと気が済まない奴で、否定的な奴が理論武装でその動きを止めようとする前に半ば衝動的に頭の外へ問題を放り投げてしまうのだと思ったりもするのだけれど、むずかしいことはよくわからない。