無職時代は僕も野球のゲームしてた

第三の役立たず

第三の役立たず

宮部みゆきの『楽園』を借りようと図書館に行ったんだけど置いてなくて代わりに借りてきた本。クワイエットルームで感じた溝を埋めようと涙ぐましい努力をする俺といった風情を醸し出してみた。本命は宮部みゆきだったけど。で、いかんせん内容が古いというか20世紀の本なので若干時代を感じるところがある。松尾さんがインタビュアーとなっていろんな人の話を聞いた様子を綴るという本人曰く「インタビュー+エッセイ=インタセイ」という全く冴えないネーミングあたりからも時代を感じる。なんつうか、徹子ならぬスズキの部屋(アルコール入り)みたいなもの。一人目がエヴァンゲリオン庵野さんという方で、僕はそのアニメを1秒も見たことがないんでよくわからないのだけど、筋書きとか無視して適当にやってみたら勝手に売れた、というようなことが書いてあって羨ましいなあと思った。僕も適当に、喫茶店の紙ナプキンかなんかにサラサラっとペンできたねえようなスケッチを描いたら1000万円ぐらい貰えるとかそういうふうになりたいものだと思った。そんで何人か続いてラストが町田康だった。初対面だったそうで。
町田康については上にも書いたように、例のギタリストに殴られた一件のリアクションがほとほとパンクとは思えない「俺、みんなと甲子園に行く為に我慢したんだ・・・」って言ってるヤンキーに自ら喧嘩を売っておいていざ殴り合いの段になったらビビッて手が出なかったことを誤魔化そうとしている野球少年みたいな存在になっていて、だせえよベルボーイ!と叫ばずにはいられない感じだったので読むのやめようかと思ったのだけど、本の中の彼はまだ20世紀であって殴られてもないので「へっ、どんだけ吼えまくってんだか」という舐めに舐めきった気持ちで読むことにした。そしたらば、なんつうか、違ってた。彼はパンクではなかった。それを自覚してたし、世間との距離感というか世間に置かれている自分と乖離してしまっている自分とのどうしようもなさ表現しようとしている頭のいい人であった。ごめんね町田さん『人間の屑』読みます。