おのぼりさんはのぼらない
なにをどう勘違いしたのか東京タワーと東京メトロの日比谷駅が近いんだと思い込んでマメができるほど歩いてタワーへ行ってきた。脚の下で煙草を吸いながら上ろうか思案に暮れているうちに日が暮れて、ライトアップされたタワーの紅白が綺麗だったものだからそのまま眺めていたら上らなくてもいいや、むしろ上ったらダメだなんて思い始めて結局上からの墓地探しはやめにした。よくわからないけど時期尚早な気がしたのだ。お別れをした後の方がよく話しかけるってクダリがあったけれど、死に別れでなくてもそういうのってあるなあとか思いながら帰りも彷徨って有楽町まで歩いてマメが潰れるかと思った。
なにも東京ばっかりじゃなくてもみんな多少なりとも歯を食いしばって毎日を過ごしているけれど消耗の激しいこの土地でもうなくなってるだろうって思ってた店や会社がまだ健在だったりすると頑張ってるなあと心なしかエールを送られた気分になる。船を漕ぎ始めてしまった以上その手を止めたら船はブクブクと沈んでしまうから必死で漕がなければならないからどんなカタチであれエールを感じれば顔を上げて漕ぎ続ける原動力になる。それが例えもう会えないだろう人からのものだったとしたらそこで時間は止まって永遠のエールになる。マメは潰れなかったけれど泣きそうなぐらいヒリヒリした。
- 作者: リリー・フランキー
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2005/06/28
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