母の日恒例企画『お母さんより.2010』
元気でやっていますか?ちゃんと眠れてますか?使ってもない携帯電話の有料サイトに登録してませんか?TSUTAYAのレンタルDVDを返し忘れて明日の朝返却ポストに入れておけばいいやと思ってたのに結局寝過ごして延滞料金払ったりしてませんか?お前は昔からここ一番てときにヘマをやらかして人に尻拭いをさせてきたんだから、そろそろ自分のお尻は自分で拭けるようになってね。今はシャワートイレがあるから平気なのかしら?でもビデには気をつけて。
ああ、そういえば性懲りもなくカーネーションありがとうね。おまえがお花屋さんでカーネーションてどれだろう?って野面下げて耳まで真っ赤にしてお花買ってるところ想像したらお母さん飲んでたスパークリングワインを鼻から派手にスパークさせちゃったわよ。でも必死で買って送ってくれたんでしょうからお礼言わなきゃね。はいはいありがとうありがとう。しかしまあ年に一度しかお花貰えないからどうしたものかわからなくて、しめやかに執り行われていた葬式に参列して見ず知らずのホトケ様の棺桶の中に突っ込んじゃった。なんてね、嘘よ嘘。ちゃんと今年も天麩羅にしてみたわ。苦味と渋みが絶妙なハーモニーを奏でるヌーベルバーグに仕上がったから、真ん中でうまくヘシ折れなくてビニールが白く伸びきったチューチューアイスを食べ終わって処遇に困ってた釜飯の素焼きの器に入れて、蟹グラタンが入ってた甲羅で蓋して送りますね。
そろそろちゃんと言わなきゃって思いながら時間ばかり過ぎて今になっちゃったけど、実は伝えなきゃいけない大事な話があるの。本当なら会って話すべきなんだけど、お母さんおまえの顔見たらきっとおまえが悲しむのを見たくなくて言えなくなっちゃうからここに書きます。お母さんはおまえの本当の母親ではありません。おまえを産んだ女性はおまえを産んですぐに亡くなってるの。ただ、赤ん坊だったおまえを我が子として育ててきたのは間違いなくお母さんよ。右も左もわからないわたしをお母さんとして育ててくれたのはむしろおまえの方だわね、ありがとう。そう知っておまえはわたしのことをお母さんとは呼べなくなったかもしれないけれど、わたしにしてみればおまえは一生わたしの子供よ。誰になんと言われようが、例えおまえ自身に拒絶されてもお母さんのおまえに対する愛情は誰にも消せやしないの。愛しているわ。元気でね。
どう?まさかの展開に驚いたかしら?思わず胸が締め付けられる思いがしたかしら?お母さんもなかなかやるでしょう。こう見えてお母さん日商PC3級持ってるから作り話はお手のものだし最近は古武術介護の通信講座も習い始めたからおまえを泣かすぐらい朝飯前よ。うふふ。