おばさん日記

おばさんに会った。その人は僕の座ってたベンチから離れたところにある椅子に座ってたんだけど、この人若い頃はすごく美人でモテモテだったんだろうなというオーラが北斗琉拳梵字みたいな感じで立ち上ってた。そんで知人に紹介されて「ハジメマシテ」なんつったりして会社の話とかしたんだけど、向こうの素性を聞けば鼻毛が全部ニグロパーマになるぐらいの大金持ちな方で、咄嗟にスパムコメントの「舐めさせたら7万くれたwww」みたいなフレーズが頭に浮かんだんだけど、いくらセックスに年齢と国境はないけどゲイはヤダ、を信条としているおれでも無理と軽めのヘッドスパンキングをしてグロテクスなスプラッターシーンを追い払った。追い払ったんだけど、このまえ飲み屋のオンナのコから自己最高齢記録である70歳のおじいさんと和合したという話を聞いたときに、吸っても吸ってもシナシナで困ったと言ってたのを思い出して、なんかこのぐらいの年齢のおばさんって潮じゃなくて粉噴きそうだなと思った。そんで「ご芳名を」みたいな帳面に名前を書いて、それを順番でおばさんに手渡したら左手で書いていたので「左利きなんですね」と言ったら、ニッコリ笑って左利き談義にポツポツと花が咲いたんだけど、その笑った顔が非常にチャーミングだったので、なんつうか、こんなおばさんでもちゃんとかわいいとか思えるおれってすごいな、と思った。もちろん若い女の子はかわいいよ。
あと、本当に金持ってる人っていうのは何を残して何を新しくするかってことをすごく考えてる。恣意的ではあるけれど。行き当たりばったりにそんときの流行で残さなきゃならないものを潰したり、単なるノスタルジーで伝統だって言ってみたりしてる底の浅い連中とは違うんだ。今頃エコエコ言ってる奴らなんか怪しいもんだよ。文化と芸術っていうのは割りと線引きが難しいけれど、守るべきは文化の匂いがするほうだと思う。芸術が爆発なら文化は生命だ。