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端末をネットワークに接続することにより無線通信で遠隔操作が行える汎用コピーロボットを開発した富山県の精密機械製造業、椚原茂富(62)は記者会見でこう語った。
「こいつはな、ワシの娘がまだ小さい時分にテレビアニメ見てたときに『おとうさん、あれ作ってくれたらまた一緒にお風呂入ってあげる』って言ってたやつでな、そんな頃の娘はむずかしい年頃でな、ワシのことを臭いだの汚いだのまあさんざん言われててよ、そんでムキんなって研究してようやく完成したんじゃ。今となっちゃあもう一緒に風呂も入りようがないんじゃが男の意地ってやつじゃな。理屈は割りと簡単つうか指紋で個体認識して形状を変化させとるだけじゃて、予め複写元になるデータは入力せねばならん。つってもまあ簡単なアンケートに答えるようなもんじゃて。一番苦労したのは指紋の読み取りボタンをどこに付けるかということで、アニメだと鼻に付いてたんじゃがそれだとボタンが丸見えじゃから一発で複製じゃってバレるじゃろ?じゃからあんまり人目に付かないところはどこじゃ?ってことを決めんのに悩んだものじゃ。万が一裸になってもバレずに済むようなところじゃな。」
椚原がそう言ってコピーロボットの尻の穴の脇に付いたボタンを押すと、シリコン樹脂製の原寸大人形はみるみる姿を変え、椚原本人と見分けが付かない容姿となった。