アスレチッククラブはじめました

会社の空き部屋を使って新しい商売を始めることにしたのだがアクセサリー店は失敗であった。どう考えてもあの真鍮の輪を首に嵌めるには一度介錯しないと無理そうだ。となると、お買い上げの皆さんの首をチェーンソウか何かで刎ねる→輪を嵌める→赤い布かなんかで覆う→てじなーにゃ!ってくっつくわけねえだろ!そんな恐ろしいこと森の仲間の私には無理だ。ということで再び黄色い表紙の職業別電話帳で世間にはどんな商売があるのか調べてみたら次は『足場工事(住宅足場)』であった。いわゆる鳶(トビ)である。
今の世の中、工事現場に行けば一番偉そうにしてるのが設計事務所のセンセイであり酷い時なんか施主より偉そうなのだけど、昔の工事現場では鳶職人があらゆる業者の頂点に君臨していた。その現場ピラミッドの2段目といえば右が大工で左が左官屋であった。そういう図なので「左官」と呼ぶのだそうだ。そして右の本格派というか技巧に優れた大工を讃えて「右に出るものはいない」と言ったそうだ。らしい。たぶん。飲み屋でおっさんに聞いた話なので間違っているかもしれない。でも鳶の親方が一番偉かったのは本当らしい。とまあ石坂浩二を気取ってみてもどちらかといえば格好悪いので次の商売を見たら『アスレチッククラブ』とあったので、これも何かの縁かと思い早速アスレチッククラブを始めてみようと思った。
動く歩道の小さいやつとか、重りがいっぱいぶら下がる機械とか、アスレチッククラブを始めるにあたって用意しなければいけない機材が多そうだ。ということは初期投資に割りと洒落にならない費用がかかるということなので、そういうことはヤメてもうちょっとこう趣を変えたアヴァンギャルドでバイオエコロジーなアスレチッククラブにしようと思う。手始めに「アスレチッククラブ」の『ク』が連続しているとタイプミスをしてしまいがちなので一つにしてみる。『アスレチックラブ』。おおお!なんか恋の予感がする。肉体的な恋の予感。映画「エージェント」でトム・クルーズがパツキン美女とやっていた駅弁スタイルのスポーツライクなセックスみたいな雰囲気だ。となるとインストラクターはチョコボール氏しか適任者がいないと思われるのだが人件費が嵩みそうなので有名人は雇えない。となると・・・火消しか。出初式なんかですげー高い梯子の上で逆さまになって片手とかになっちゃう彼ほどのアスレッチクカーはいないだろう。アスレチッケストだ。

その時、突如として天狗の軍団が空から舞い降りてきて譜代大名以下五百六十余名を一晩のうちに殲滅せしめ、朝陽が昇るのと同時に北の山へと飛び去っていった。天晴れ天晴れ。