rock is dad

あのおじさんを初めてテレビで観たのは馬みたいな顔したピアニストとベロチューしてるときで、なんか気色悪いおじさんがいる!と思っただけで名前も知らなかった。その後、割と有名な歌手だと知ってなんていうアルバムか覚えてないけど、ねずみ色したパッケージのミュージックテープを買ってきて赤いオートリバースのダブルデッキのラジカセでおじさんの曲を聴いたら「気の合う奴なんかそこらへんにごろごろしてる」みたいなことを歌っててそうなのかと関心したのだけど、でもその声は僕にとって骨っぽいという意味での「ロック」だとは思えなくて、そもそも化粧して馬みたいなおっさんとベロチューしてる時点でコミックバンドにしか思えなくて到底「カッコいい」とは思えなかったのだけど、パッケージの写真のおじさんの顔をよく見るとヒゲが変なところに生えてて面白いおじさんだなと思ったりした頃におじさんの名前がキヨシロウだと知るんだけど、その頃はプラモ狂四郎とかいうマンガが連載してたり、ジュリーの天草四郎の映画があったり岸辺シローだとかプラレス三四郎とか、とにかくシロウだらけで、なんだかよくわからないけれども字面が縁起の悪そうな気色悪いおじさんという印象がやんわり薄れながら今日に至り、そんな僕がワールドワイドに彼について何かを語るのはおこがましいとは思うものの、人間関係で厭なことがあったときに件の「気の合う奴なんか知らないだけでうじゃうじゃしてんだぜベイベー」というような文言がけっこう支えであった気がするし、休みの日のおとうさんはオナラプスーだけど働いてるおとうさんはかっこいいっていうのはすげーロックだと思うんだぜベイベー。

しかしながら僕は(そしてあなたも)忌野清志郎さんの音楽を<好きだった>と過去形にする必要はないはずです。
音楽は残るんだ。*1