ピートタウンゼントはなぜギターを叩き壊したか

よんどころない事情によりジャガイモを掘りました。セレブリティな皆さんにおかれましてはジャガイモなんてものはスーパーの棚にゴロンと転がっていてはした金をチャリーンとレジの受け皿に叩きつければ手にすることの出来る何の変哲もないただの芋「なんだ、ジャガイモか」程度の存在かと思いますが、こちとら軍手をはめて土をグイグイと掘って、ミミズや名前も知らない細長いニョロニョロとした虫に戦慄しながら泥まみれになり、炎天下で「俺は一体いつからこうしてイモを掘っているのだろうか・・・ああ、地中海の青さが懐かしい・・・」などと朦朧としながら汗水をたらしてよやく手にすることの出来る芋なのであり、もしも俺が農家であればクソの足しにもならない金なんかとは絶対に交換しない「ジャガイモが欲しければこの土にまみれた靴を舐めろ」と言ってその顔にペッと唾を吐きかけてご大層に大事にしているその自尊心と引き換えにジャガイモを投げつけ「拾え」と命令したくなるくらいのシロモノなんだけど、ジャガイモってちょっと考えると世界中で食われていてなんだか凄いな、エチオピアの人やフィンランドの人もこうやって掘ってんのかな、世界とジャガイモで繋がっているなんて凄いな、とか無理矢理にでも思い込まないとやってられないわけですが、世界に溢れるジャガイモ料理の中にスペイン風オムレツというジャガイモ入り玉子焼きのトマトソースがけというものがあるんですが、もし帰国子女の彼女がそれを作る際にアシスタントについたなら「トメィトゥ取って」と言われ「ポティトゥ取って」と言われ下ごしらえが出来たなら「タメィゴゥ取って」と言われるなんていう古臭いテンプレを思い出したりするほど、たかだかジャガイモごときで半死にするほど疲れた俺のことを芋野郎と呼ぶ声が聞こえたら顔の形がわからなくなるまでジャガイモみたいな顔になるまで殴り倒して芋野郎はどっちか教えてやる、と吼えるぐらい疲れ果てて心も荒んでしまったのだけど、掘ったジャガイモで作ったコロッケとカレーがやたら美味かった、ということもなく美味いんだか美味くないだかわからないくらい疲れてたのでよくわからないのだけど、今後はジャガイモを掘ったことがあるかないかで人間を判断していきたいと思います。