おしえておじいさん

雨の日は考えごとをするのにいい。誰が言い出したのか知らない言葉だけど記憶にあるのはアルムおんじがハイジにそう言ってたシーン。身構えなくっても晴れやかな青空を見れば外へと先へと気分が向くけれど、グレーの雨雲に空が覆われていれば自然と内向してゆく。大昔に狩猟なんかをしてた頃、雨の日は穴倉に篭って食料をどうしたもんか備蓄はどれぐらい残っているのかなんて考えてた記憶がそうさせるのかもしれない。DNAっつうか。
雨降りの中を2時間ぐらい高速道路を使ったりしながら移動したからポワワワ放題だった。まず考えたのはガソリンの小売価格のこと。1リッターあたり176円なんて数字は異常を通り越して超常現象だと思った。経費が跳ね上がった分を報酬に上乗せできれば問題ないけど、そういうのはなかなか認められないもので、どこかの富豪や投資家がブクブクと肥え太るためにあれこれ切り詰めなきゃならないなんて考えていたとき佐賀ナンバーの大型トラックを追い抜いた。このままガソリンが値上がりし続けたら陸送ってどうなるんだろう、流通がストップしたら都市部の人たちはどうやって食い物を手に入れるんだろう、とかそんなことを考えた。
資本主義っていうぐらいだから金持ちが儲かる世界なんだろうなといまさらながら当たり前のことを考えながら目的地に辿り着いて仕事を済ませたらちょうど昼飯の時間だった。これといって食いたいものが思いつかない。食べる量を減らし始めてそろそろ1週間になるのだけど完全に胃が小さくなったみたいで、以前ほどバカ食いしなくても簡単に満腹になるようになったから定食でもラーメンでもハンバーガーでもいいやと思いながら車を走らせてたら漫画喫茶の看板が目に入った。そろそろ金のことを考えるのを止めたかったから漫画を読むことにした。

リアル 1 (Young jump comics)

リアル 1 (Young jump comics)

しくった。チョイスを完全にしくった。文句なしで面白いんだけども。
入店時に個室になさいますか?と聞かれたとき椅子が楽なほうがいいと思って「はい」と答えておいて正解だった。予定していた休憩時間を大幅に過ぎているのを知りながら1巻から7巻まで読んで、そのどれもで目頭が熱くなった。特に6巻で高橋が心の奥底に仕舞い込んでいた感情を発露させたところなんかは、もうアホみたいに泣けてしまってどうしようもなかった。
帰り道、また雨の高速道路を運転しながらいよいよ思考が深い森に入り込んでしまった。生きるってどういうことだろう?死んでしまいたいなんてほどの絶望を感じたことはないし、またその逆のどうやっても生きたいという渇望もなくこれまで生きてきた。生きてるのが当たり前すぎて生きる意味とかあんまり考えなかった。それは生きる道がどこかにあるって信じてるからなのかな。そうやって考えたりすることが生きてるってことなのか?
何も考えられない状態だったら生きてることにならないのか?植物人間は?心停止してしまって自発呼吸もしてない肉体は?脳死で心臓だけ動いてたら?どこで線を引くんだ?生きてることと死んでることの違いってなんだ?生かされてるって一体誰に?生きるってなんだよ。