白いセーター
12年前といったらなにをしてたかなと思い出そうとしてもなんだか全然思い出せない。どこに住んで何をしていたかということぐらいはハッキリしているのだけど、その頃何に興味があったとかどういう人たちと付き合っていただとかがスッと思い出せない。その年の前後のあたりで覚えていることの点と点を結んで線にして思い出してみてようやく競馬に夢中になってる頃だったことを思い出す。わざわざ京都競馬場まで足を運んで菊花賞を観戦したのだった。あと草野球もやってた。そいつらと飲むと必ず喧嘩になってその仲裁で何度も殴られたのもその頃だ。とかなんとかそこらへんまで思い出してくるといろいろ思い出せるようになる。あの頃は白いセーターを好んで着ていた。黒い色で雪の結晶の模様が入ってた。あと赤い線もあったかな。たぶん当時の写真とかあればきっとそのセーターを着てる写真ばっかだと思う。
そのまた12年前ともなると、ちんこの毛が生え揃うかどうかぐらいの頃になるから、まあ、なんつうか殆ど覚えていないんだけど、やっぱり白いセーターを好んで着ていたことはよく覚えている。Vネックのニットのようなやつだった。Vネックちょうかっこいい!俺っておしゃれさん!と信じて疑わなかった。そんで今年も白いセーターというかニットを着ている。このまえ出掛けた先が思ったよりも寒かったから急遽買ったやつ。年中着るものじゃないから数年着て捨ててというサイクルになっているのだろう。いくらなんでも12年間も同じセーターは着れない。白いセーターのサイクルは12年ごとに空白を経ながら新調とかそんな感じなのかもしれない。12年後はちったあマシな白いセーターを着てられたらいいなとかそんなふうに思う。