酔ったおっさんが泣きながら書く日記

いや泣いてないけどさ。見知った顔の連中から講師だの先生だの冷やかし半分の呼び方をされつつも勉強会は思いのほか好評だったので余は満足じゃ。とはいえやった内容は世間一般には広く認知されていることだったので、なんつうか田舎ってもんだよなあと都会っ子ぶってみる田舎のおっさんであった。懇親会という名目が付けられた飲み会の席では感性について語ったりなんかした。僕は花とかお茶とか能とかそっち方面からいろいろ学ぶことがありそうだと思った。そっちの世界のことは全然知らないのだけど、なんだかそういう場に身を置いたときに感じる「珠(たま)」みたいなものを手にする必要があるんだと思った。中締めの後、気を良くした年長者に半ば拉致されるように寂れたスナックへ連行され歌いたくもない歌を歌わされ日本酒でベロベロになってる連中と大声で話しをしたりして疲れた。結局、目当ての飲み屋には行かない雰囲気ではあったのだけど携帯にオーナーから着信があり、スナックで散会になった後で連れと二人で行ってきた。のだけど連れは入店早々に具合が悪いと金を置いて帰ってしまい、なんだこれ?という感じで独りでオンナノコ二人とお喋りした。普通ならオンナノコの一人は席を外すんだろうけど、僕の他に客は1組しかおらず、電話の誘いに乗ったオーナーからの気遣いなんだろう。そういえばチョコレート!と思い出しくれないのか訊ねると、用意してたのはもう全部捌けたよそれにもう15日だしと言われ、チャームの小袋入りチョコレートをあてがわれた。まあ、もうなんでもいいや。大阪で行ったキャバクラの嬢と比べればこの街のオンナノコ達はまるで牛かなんかのように朴訥としていて、なんつうかこう、純粋というか田舎臭いというか、まあそんなふうだ。そうはいっても多種多様なおっさん相手に商売をしているわけだから俺なんかよりずっと世の中を知っている。たいがいの時間をチャラい感じで笑って過ごして店を出た。外の空気は耳が千切れそうなぐらい寒く澄んでいてコートのポケットに両手を突っ込んで満天の星空を見上げながら歩いて帰った。星を眺めながら今夜のあれこれを思い出し、何かを言ったときに人が笑ったりなんかするその感性みたいなものを大事にしないとなとか、そういう得体の知れないナニカをどうにか仕事に生かせないものかとかポツリポツリと思ったりなんかした。オーナーからの誘いに乗ったのも単なる客としてではなくて、逆営業というか、向こうが客になってくれるような信頼といえばいいのかわからないけれど、なんかそういう下心もあって、なんつうか仕事なんだなという寂しさと、ライフワークっていうよく意味のわからない言葉からくる生き様的なナニカを感じたりした。
結局、飲み屋のオネーチャンがどうのこうのなんて言ってるおっさんてのは臆病者で、傷つけられない間合いに安心しているフシがあるんだよね。修行が足りんのよ。