オスタカヤマノボレ
もうずっと前に横山秀夫という人の小説が面白いと勧められてそれじゃあ半落ちを読もうと思ったのだけど忘れてしまって、また去年にも横山秀夫という人の小説を勧められてそのときはクライマーズハイが面白いよと勧められて、今度は忘れまいと文庫本をすぐさま買ったのだけど冒頭の山登りのあたりがなかなか読み進められなくて放置していたのだけども、小説でも読んでなきゃ潰せない時間というものがふっと沸いて出たのでもう一度読んでみたら面白かった。
- 作者: 横山秀夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/06/10
- メディア: 文庫
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過去と現在の時間を行ったり来たりしながら物語が進行していくのだけど、交錯したりセンセーショナルに解き明かされる謎みたいなものはなくて淡々とどちらの時間も進んでいく。で、その過去っていうのが1985年に起こった御巣鷹山のジャンボ機墜落の事故を巡る地元新聞社の内幕になってて、作者は実際に群馬の新聞記者だったそうでそこらへんの描写が実に熱っぽい。当時は携帯電話もない時代*1であって現場がとんでもなく山の中だった場合に本社へ連絡すんのがどんだけ大変なことだったかなんて僕らの世代でも痛感するのは無理というか、あー、そうかもねーぐらいの感覚だし、新聞やらマスメディアの構造みたいなものなんかはインターネットを通じて胡散臭さがようやく臭う程度しかないわけで、腐ったところを上手にスポイルされた「製品」しか見てなければ当時の内情がどうであったかなんて考えもしなかったし、今も発信されてる「情報」っていうやつの信憑性だとか恣意的なナニカとか、未だに気付きもしなかっただろうなとか思った。そんで主人公のおっさんがこれまた三歩進んで二歩下がったりする人間だったりするので奇妙な共感を持ったりした。チカラがなくてだらしない誠実さみたいな。
*1:ないというかあったんだけど肩掛けの軍用無線機みたいなやつの出始めの頃