僕は君のおもかげを追っているんだろう

これは言うまいと、墓まで持っていくべきだと心に誓って今まで黙っていましたけれども、実は半月ほど前に電子レンジを買い替えました。都合が悪くなればポイ捨てかよ!この薄情者!腐れチンポ!とみなさんは思うかもしれないけれど僕だって辛かったんです。
もう二度とあたためることができないほど壊れてしまった僕たちの関係は随分と冷え切ったものになってしまったんです。電子レンジだけに。こう、ね。あたためられないってね。早く座布団よこせハゲ。
辛い離別の後には新しい出会いが待っているもので、新しい電子レンジを買いに電気屋に行ったら偶然電子レンジがいくつか置いてありました。運命ってあるんですね。ちょっと感動して震えました。シャープのヘルシオ(rakuten:menet:10002885)の値段を見て震えが止まらなくなりました。
高級ソープ嬢か妥当な値段のデリヘル嬢か格安ピンサロのおばさんか迷いましたが、デリヘル嬢にしておきました。例えがアレなのは仕様です。
やがて僕たちの新しい生活が始まりました。この電子レンジには器が乗っかって回る皿がありません。庫内はフルフラットで広々としています。渡辺篤史さんがちょこんと座って「あー、これはいいですねえ」とか言いそうな勢いで広いです。
そんなわけで、設置した後にスーパーで買ってきた焼き鳥を早速あたためようと中に置いて加熱をスタートさせたんですけど、皿が回らないので物凄く違和感がありました。言うなればマグロですらなく南極2号だったという感じです。
生娘の様相をいつまでも崩さない新しい電子レンジですので、もう少し積極的になってもいいんじゃないかと乳首に相当するであろうダイヤルつまみをクリクリと回してみるのですが、一向に目覚める気配が感じられません。そんな一抹の寂しさを感じながら半月が過ぎました。
昨夜も昨夜でカレーを放り込んであたためてみたんですけど、ふと見たときに中の器がポツンと佇んだまま微動だにしないので「あれ?こ、こ、壊れた?」と妙にそわそわしてしまいました。
ようするに、あの動かない電子レンジにいつまで経っても慣れられないので、おまえさんがたも固定観念は捨てるべきだよ、という含蓄のあるありがたいお話でした。めでたしめでたし。