いちょう並木が臭いセレナーデ

ついこの間まで深い緑色をしていた桜並木やお寺のもみじの葉っぱが次第に紅くなってきているけれど、銀杏並木は黄緑色や黄色になって仲間はずれのよう。そろそろボトリと落ちそうな柿の実だけがうっすら黄色チームの仲間だけれど、彼らとて仲間として繋がってられるのもあとわずか。場違いなほど陽気なカラーの銀杏並木はそうやってひとりぼっちのいたたまれない気持ちのまま葉を散らし実を落とし腐臭を放って僕の鼻を狂わせる。つか普通に臭い。旨いけど。

とにかく最近は雲が流れてゆくのがとても早い。幌を開け放った車の中から眺めているとあっという間に西から東へ移動している。ビュンビュン走りながらビュンビュン流れてゆく雲を見ていたら(危ない)僕の脇をビュンビュン通り過ぎていってしまった人たちを思い出したりした。昔、好きな女の人と車の中でいい感じで話をしていたとき、彼女はヨーグルト味のジュースを飲んでいて物凄く口が臭かったのでキスをするのに躊躇してしまって何もないまま関係が途絶えたことを思い出したりした。甘酸っぱいというか甘さゼロで酸っぱいだけの思い出だ。