海よおれの海よ

8月ともなれば押しも押されもせぬ夏であるわけで、恭しく8月がその座を固辞したとしても満場一致で夏と認定されることだろう。そして夏といえば、というか夏であるならば海なのだ。海でないなら何が夏なんだ。女の子が布着れ一枚申し訳程度に身体に巻いてその柔肌を白日の下に晒してこその夏なんだ。そればっかでもないけど。まあ山より海がいいよね。
というわけで下々の者達が額に汗して働くミッドウィークに仕事をほっぽり投げて海へ行ってきた。ちょう楽しかった。そして今、里佳子笑いをすると鼻がめちゃくちゃ痛い。そんでね聞いて聞いて。ほぼ毎年行ってる遠浅の海に行ったんだけど、浜辺からちょっと沖に行ったあたりに温暖化の影響だかで昆布みたいなのがビッシリ生えてたんですよ。普通に泳いでいると足に絡まって気色悪いんで浮き輪の上に、こう、浮き輪をボンボンベッドに見立ててうつ伏せに寝て、そんでサーファーがパドリングするみたいに手で漕いでザバザバ沖に向かって進んで行ったわけなんですよ。そんでね、ゴーグルで昆布の分布を確認しながら進んで行ったらそのうち昆布地帯が終わったんで、どのぐらい深いかなあって浮き輪から降りて潜ってみたんですよ。そしたら水深が2.5mぐらいかもうちょっとあってね、すっごい冷たいの水が。下の方の水が。そんときに『海難事故』って4文字が、ほれ、ルパンのタイプライターのやつみたく、カシャッカシャッカシャカシャッ、テレレレレー、テレレレッテッテッテッテレ!って脳裏に浮かんだから慌てて浮上したんだけど、ちょっとした隙に浮き輪が降りたところからズレてやがってて、水飲んだりして本気でびびりました。
話は変わりますけど『都こんぶ』ってあるじゃないですか。あれってなんとなく『都はるみ』と繋がってる気がしてて(都だけなんだけど)、ほら「アンコ椿は恋の花」って歌あるじゃないすか、だからなんとなく「都こんぶ」≒「餡子」って感じで甘い食い物だと思ってたんですよ。結構本気で。三段論法飛び越えて十二段変速ロードマンみたいな感じですけれども。初めて都こんぶ食ったときにすっぱしょっぱくて驚いたんですよね。そんで、ビシーっと生え揃ってる昆布地帯の昆布が全部、都こんぶだったらこの海水のしょっぱさも納得がいくって思ったんです。ということはあれが都こんぶの正体なんじゃねえの?って。海から千切ってきて箱に詰めただけなんじゃねえの?って思ったりもした。そんで海の家のおじさんに聞いたら生えてたのは昆布じゃないって言ってた。