無免許流へうげもの心得
聚楽第で採取した土を使い手捏ねで成形し加茂川の鉱石を砕いたものを釉薬として用いる焼き物が樂焼き(黒)と呼ばれるそうで、中国や韓国から渡ってきたピカピカの茶碗こそという時代にあって利休が侘び茶を表現するため長次郎という人に依頼して初めてそういった無骨な茶碗に価値がもたらされたらしい。どうしてそこまで価値が逆転してしまうのか利休の影響力はそれほどだったのかよくわからないけれども、とにかくすごいってことになったようで長次郎の跡目を継いだ二代目が豊臣秀吉から樂の印を下賜されて直系の樂家はそういった茶碗を代々作ってきたそうだ。同じ製法で茶碗を作っている傍系のような窯も何件かあってそのうちの一軒で樂焼き体験教室に参加するのが京都2日目の予定だった。
前夜に藪蚊の襲撃を受けほとんど寝てなくて刺されたところも痒いしなんだか小難しい茶碗を作るということで自暴自棄もいいところだった。その体験教室的な費用も決してお安くはなかったので今になってみればもったいないことをしたなと思うんだけど、まあとにかく寝てしまわないように終始どうでもいいことを独り言のようにつぶやきながら気の向くままに粘土を捏ね、綺麗にまとまったものをちょっと崩すと色気が出ると言ったのはリリー・フランキーだったっけ?なんて基本のキの字も知らないまま沓形に茶碗を歪ませた。中を削り取っていく工程に悪戦苦闘していると先生から「もうそこから先は私がやりますから」と不意にタオルを投げ込まれた。ひとまず型が出来上がったところで京都の旅が終了した。窯で焼かれて手元に送られてくるのは11月らしい。帰り道で同行者とあれこれ茶碗の話をしていたら「へうげもの読んでる?」と尋ねられた。まだ読んだことないと言ったらてっきりアレの影響かと思ったと言われたのだけど、先日読んでみてそう言われた理由に納得した。わかる、あんたの気持がわかるよ織部。たぶん。
- 作者: 山田芳裕
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/12/22
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ひょう・げる〔ヘウげる〕【×剽げる】
[動ガ下一]ひょうきんなことを言ったりしたりする。おどける。
先生やっぱりあれですか、こんなもの・・・だめだだめだだめだー!ガッシャーン!てやるんですか?って尋ねたら、バラバラに壊したら片付けるのが面倒だから失敗しても投げつけたりはしないですねって真顔で答えられました。ここテストに出るからね。