ぬるぬるマリアージュ
あの頃、ぼくはアントニオでイカと納豆が。
定食屋で昼飯を食べたときにイカソウメンと納豆が別盛りでお盆に乗せられて出てきたので、おいおいどうして君たちが離れ離れにならなくちゃいけないんだいベイビー、という感じで混ぜてご飯に乗せて食べたらやっぱりうまかった。そこでふと、イカ納豆なんて食いものをいつ頃から食べ始めたんだろうとおもってよくよく思い出してみたら、佐山タイガーが小林邦昭にマスクを千切られたりダイナマイト・キットが涎を垂らしながらダイビングヘッドとかをしていた頃に読んだアントニオ猪木大百科に載ってたのを読んでからだということに気付いた。
きみたちのような水飲み百姓風情は知らないかもしれないけれども、大百科というのはB6サイズぐらいのボール紙でできた100ページぐらいの本で、歯医者とかに行くと待合にスーパー戦隊大百科とか置いてあるような感じで、中は写真とどうでもいい感じに捏造されたような紹介文*1が載ってるもの。一番印象深い大百科は高校の頃に同級生の家で観たプロ野球大百科で、阪急の福本のページが一発で開くすぐれものだった。というか物凄い勢いで福本のページに開きグセというか折り目がついていて、その大百科をぽーんと放り投げると福本のページが開いてばさっと着地する超福本大百科だった。それが面白くてげらげら笑いながら何度も投げてたらブーマーのページが取れてしまってすごく怒られた。関係ないけど彼の親父さんは洋モノの無修正ビデオを床脇の地袋にたくさん隠してた。いわゆるひとつのトレイシー・ローズだった。
イカ納豆に話を戻す。アントニオ猪木大百科はジャッキー・チェンがすごく好きなトモダチの家で読んだ。彼は本当にジャッキー・チェンが大好きで少林寺木人拳の主題歌をテレビ放映の際にカセットテープに録音しておいて人が遊びに来るとエンドレスで「ユガッタミラコーきせきをおこーせー」と再生するジャッキー・チェンが好きなのか謝花義哲が好きなのかよくわからない子だったのだけど、彼の家にジャッキー・チェン大百科があったかがどうか記憶にない。そもそもジャッキー・チェン大百科が出版されてたかどうがもわからない、というか、いま急にアントニオ猪木大百科は彼の家で読んだのではないような気がしてきた。あれどこで読んだのだろうか・・・
とにかくアントニオ猪木大百科に「イカ納豆を丼飯で毎日3杯食ってたら身体が大きくなった」という猪木のインタビュー(ぽい感じの出所不明な文章)が載っていて、そうか!イカ納豆食えば背が伸びるんだ!とかおもって食べるようになったのだけど猪木ほど背が伸びなかったのは、やっぱり大百科に載ってる話は嘘八百だったのかもしれないし、毎日食べなかったからかもしれないし、3杯も食ってたら縦よりも横に伸びそうだなあとか、背は伸びずにアゴがシャクレつつやたら伸びたりしなくてよかったとか、まあなんにしてもイカ納豆はうまい。