パクリじゃないのリスペクトなの

このまえ鰤の照り焼きを食べて生まれて初めておいしいと思った。これまで何度か食べたけれど脂っこくておいしいと思ったことがなかった。でもこのまえのは今までのと大差ないはずなのにおいしいと思った。衝撃的だった。もう5年ぐらい若ければ、またひとつ大人の階段を昇ったのだ、と嬉しく思うところだったのだけど、なんだかもう肉が食えない身体になってきたのではないかと戦慄した。しかし肉は相変わらずうまいし鰤の脂も平気になったということは、単に雑食ぶりに磨きがかかってきただけなのかもしれない。それはそれで困るのだけど。逆に食わず嫌いの反対というか、好きすぎるのがわかりきっているから敢えて手を出さない、というモノがある。それに触れたら細胞レベルで感化されることが予測できるのでこれまで「なかったこと」にしてきたものだ。いくつかそういうものがあるのだけど、先日、うっかりそいつに手を出してしまったので、すっかり恋する乙女のような気分なのだ。頬を赤らめても顔は黒いままだけど。うるせえ。

ゴッドファーザー [DVD]

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アル・パチーノが出演している映画はいくつか観たことがあるけれど、どれも「厭味な男」という印象が強かった。もちろんそういう役柄なんだろうけど灰汁が強すぎた。だけれどもドン・ビトー・コルレオーネの三男、後のゴッドファーザーとなるマイケル青年役のアル・パチーノはちょう格好いいのだ。あのアル・パチーノからすればブラッド・ピッドだろうがジョニー・デップだろうがただのハンサムボーイでしかない。匂い立つような男っぽさが感じられないのだ。あの眼、あの声、あの物腰。マルクスキーとソロッツォの眉間を撃ち抜いた後の、アドレナリンが体中から噴き出てるようなあの表情。ちょうかっこいいではないか。マイケル・コルレオーネ役のアル・パチーノが鰤の照り焼きだとしたら、国内外問わず最近のイケメン俳優なんてのはハムだ。5枚入りのが3つぐらいセロテープで束にされてるハムだ。女子供はハムでも齧ってるのがお似合いだ!おれは鰤の照り焼きになるぜ!みたいなことを少し思ったのだけれども、アル・パチーノは鰤の照り焼きというよりもアンチョビっぽいし、そもそも今更イタリアンマフィアに憧れるのもどうかと思うんで、えーと、なんだ、ゴッドファーザーっていう映画は面白いねっていうね。
あ、でも今年の仕事始めから仕事着はスーツにした。できればスリーピースを仕立てたい。