流星群の夜
さいきんよく考え事をするようになった。頭の中だけに留めて忘れてしまわないように文章を書いたり絵を描いたり。それでも甘すぎて翌日には丸めてゴミ箱へ投げ入れることも多い。小便しながら思いついたようなことをそのままやろうとしてもやっぱり綻びが露見してしまうというか、刀鍛冶が鉄を焼いて叩いて強靭な鋼にするように、思いつきをもう一人の自分がぶっ叩かないと脆くてどうしようもない。そうやって考え事をしているといろんなことが繋がって何をしなくちゃいけないのかわかるような気がする。「気がする」っていうのも随分脆い言葉だけども。
昨夜は夜中まで会社の机に向かってぐちゃぐちゃ書きなぐって本当にやりたいことはなんなのか考え事をしていた。会社のドアに鍵を掛けて振り向いた瞬間に黒い夜空に青白い光の筋がぴゅうっと走った。ああ、そういえば流れ星が見えるんだったと思い出して遠回りして帰ることにした。なるべく外灯の明かりが届かない道を選んで歩いていくと、2つ3つ、さっきのやつより弱い光の筋が流れるのを見た。それからまた道を逸れて送電線の鉄塔のあたりで空を見上げて星が流れるのを待った。そしたらまたいくつかの流れ星を見ることができた。西の空から南の空にかけて青っぽかったりオレンジっぽい色の光が現れて消えた。7つか8つ見た。
流れ星はいつも見えるものではないし儚さがあって綺麗だけど、いまの気分はそういう一過性の美しさではなくて、絶えず光ってる珍しくもなんともない星の輝きのほうがいい。名前なんか知らなくてもいい。なんかあそこらへんで鈍く光ってる、ああいう星がいい。ロックンロール。