打上げ花火日記

諸般の事情により打上げ花火を打ち上げてきました。ブロガー諸氏におかれては、そのような状況に遭遇した際には右手にチャッカマンを持ち、左手にはデジカメを構えて、花火が打ち上がり夜空で大輪の花を咲かせた様子を美麗な画像と卓越した文章でもって世界中のみんなと分かち合うことに努めるかと思いますけれども、僕は単なる日記書きのおっさんなのでそんな七面倒臭いことはしません。だいたい一瞬の煌きだからこそ儚くて美しい花火を永遠の風景として切り取るっていうのもなんだか不粋じゃないですか。花火鑑定士でもあるまいし。
一口に「打ち上げた」といっても素人が打ち上げられるものは限られているので、そんなばかでっかい花火を打ち上げたわけではなくて、ピューッバーン!ぐらいのサイズだったことを先に言っておきますけれども、素人が打ち上げられる大きさというのは火薬類取締法第25条第1項のただし書きに「(前略)信号、観賞その他経済産業省令で定めるものの用に供するため経済産業省令で定める数量以下の火薬類を消費する場合(中略)この限りでない」とある一定量以下ということになりまして、それどのくらいなの?といえば

火薬類取締法施行規則第49条第1項第四号
信号又は観賞の用に供するために煙火を消費する場合には、同一の消費地において一日につき直径六センチメートル以下の球状の打揚煙火五十個以下、直径六センチメートルを超え直径十センチメートル以下の球状の打揚煙火十五個以下、直径十センチメートルを超え直径十四センチメートル以下の球状の打揚煙火十個以下、二百個以下の焔管を使用した仕掛煙火一台、ファイヤークラッカーその他の点火によつて爆発音を出す筒物(スモーククラツカーを除く。)であつて火薬一グラム以下爆薬(爆発音を出すためのものに限る。)〇・一グラム以下の煙火(マッチの側薬又は頭薬との摩擦によつて発火するものを除く。)三百個以下、爆竹(点火によつて爆発音を出す筒物を連結したものであつてその本数が三十本以下のものに限る。)であつてその一本が火薬一グラム以下爆薬(爆発音を出すためのものに限る。)〇・一グラム以下の煙火三百個以下又は競技用紙雷管無制限

という大きさ、簡単に言うと『ピューッバーン!』ぐらいの大きさ*1ということになります。
打上げの段取りを説明すると、発射の筒と火薬、玉、導火線(マグネシウム)、これらを煙火店で用意してもらって打上げるところにセットします。筒の中に火薬をザラザラっと入れます。そんで玉には糸が付いているので糸で玉を吊るしながら玉の下に飛び出てる火薬をさっき入れた火薬に触れるようにそーっと筒の中に降ろします。マグネシウムを「へ」の字に折り曲げて、固形燃料の塊が付いている方が筒の中になるように筒の縁に載せます。後はマグネシウムに火を点ければ打ち上がります。マグネシウムが燃えると先にある固形燃料が筒の中へ燃え落ちて筒の底の火薬に着火して爆発すると爆発の圧縮力で玉が飛び出すとかそんな感じです。
花火っていうのは素っ気無い言い方をすれば火薬が爆発してるだけなんですけれども、こういう手順で打ち上げてることを知ると実に『時間』という概念が相当入り組んでるんだなあとか感じるわけです。数秒だったりコンマ数秒の時間差で爆発を繰り返して初めてあのバーン!という開き方をするんです。玉が舞い上がってから炸裂するまでのほんの短い時間も計算されて作られているんです。凄いんですよ花火って。最近はいろんな格好の火花だったり爆発の形態だったりと新しい花火がどんどん開発されるし観光目的でやたら数を打上げますけれども、小さくて単純な形だとしてもたった一発でもいいから自分で点火してみると見方が変わります。ここをご覧の皆さんも、是非花火を打上げてみたらいいと思います。以上、社団法人日本煙火協会からのお知らせでした。という回し者的なあれみたいですけれども、とにかくまあおもちゃ屋で割りと豪華な花火を買ってきて派手にやるよりも、専門店に注文して段取り取って打上げたほうが、スリルがあるし迫力もあるし感動するので、これからバーベキューやキャンプの際に花火する予定のある人は打上げてみるといいと思います。爆発事故には気をつけてね。死ぬからね。

*1:小さい打上げ花火だからといって好き勝手にできるわけではなくて消防署へ書類を提出するとかあれこれ段取りがあるので煙火店に花火の玉を注文した際に代行してもらうといいと思います。