受付嬢シリーズ第2話 - 無免許タクシー

朝から背広姿のおっさん達がゾロゾロと名刺とタオルを持って挨拶回りにやってきた。それでようやくああそうだった挨拶回りをしなきゃならないんだと気付いた。去年は喪中で明けてもおめでたくなかったので回らなかったのだけど今年は言い逃れできないので、大量にタオルを詰め込んだビニル袋を助手席にどっかと載せてそこらの関係各社へバラ撒きに行ってきた。デザイン的なナニカに値段を付けて生業としているのに販促グッズというかノベルティグッズというか撒き餌が熨斗を巻いた100円のボロいタオルで果たしていいのか以前からの懸案事項ではあった。それってムシ歯の歯科医というか口下手な弁護士というか痩せてる肉屋(完全に主観)みたいなもので、無免許のタクシー運転手じゃないか。おお。おおお。さっさと座布団よこせハゲ。さておき、タオル以外となると手帳とかそんなものになるのだろうけど、それだって凝り始めたらキリがないしちっとも安くはない。だからといって米がくっつかないイボイボの杓文字を持って行って、これ年賀ですって渡したら受付嬢だってどう扱ったらいいのかわからないだろう。そんな困った顔も見てみたいけど。もし受け取った杓文字を左目に当てて「右」「下」「左」とか咄嗟にショートコント的な対応をしてくれる受付嬢がいたとしたら恋に落ちるかも。よーし来年からは杓文字にするぞー。そんなこんなでタオル持参で挨拶回りをしてきたレポートを発表する。

相手先の代表者に相当する人に対応してもらえた：4件
相手先の担当者に相当する人に対応してもらえた：12件
受付の女の子に丁寧な対応をしてもらえた：9件
受付の女の子が事務的な対応だった：20件
受付の女の子にぞんざいな対応をされた：9件
受付の女の子の視線が宙を彷徨っていた：1件
受付の女の子があけましておめでてうｱｯって噛んだ：1件
受付の女の子がいなくて箱が置いてあったのでそこにタオル入れた：1件
受付の女の子というかおばさんにお茶飲んでけと言われた：1件
受付の女の子でなくておばさんだったので丁重にお断り申し上げた：1件
受付の女の子の匂いがいい匂いだと会社ごと好きになる
受付の女の子がいないと会社ごとちょっと嫌いになる
受付の女の子がこの会社にはいないからこの会社は嫌いだ
受付の女の子が好きなんだ果てしなく
受付の女の子の制服姿が好きなんだ果てしなく
受付の女の子が制服姿で愛想笑いをしてくれるだけで満足できるんだ
受付の女の子が制服の上からカーディガンを羽織るのは好きじゃないんだ
受付の女の子の制服姿は喪服姿の次にエロいんだ
受付の女の子の襟ぐりが広く開いててお辞儀したときにポロリとかあるといい
受付の女の子の半分は会社の上司と不倫しているんだ
受付の女の子の残りの半分は取引先の偉い人と不倫しているんだ
受付の女の子は不倫がよく似合う
受付の女の子の不倫は秘書課の女の子の不倫の次によく似合う
受付の女の子の不倫が公になりそうになると秘書課に異動するんだ
受付の女の子は元同僚(秘書課)に総務課長との間に子供ができたと告白される
受付の女の子は誰にも言わないでって言われたのに自分の不倫相手に相談する
受付の女の子の不倫相手は常務
受付の女の子の不倫相手の常務はバイセクシャル
受付の女の子の不倫相手の常務の別の不倫相手は総務課長
受付の女の子の座右の銘は「人類みな兄弟」大正解
受付の女の子の元同僚(秘書課)の孕んだ子は実は経理主任(独身)の子
受付の女の子の元彼が経理主任(実家が資産家)
受付の女の子は経理主任(イケメン)にも相談してしまうほど口が軽い
受付の女の子は経理主任(真珠入り)と寝てしまうほど尻も軽い
受付の女の子の元彼の経理主任は元ホスト(御徒町ナンバーワン)
受付の女の子に嫉妬した元同僚(秘書課)は経理主任(珠算2級)を刺し殺してしまう
受付の女の子の元彼の経理主任(末期ガン)はゾンビーとなって甦る
受付の女の子は元同僚(秘書課)から腐臭が漂っていることに気付く
受付の女の子は身の危険を感じ総務課長に助けを求める
受付の女の子から相談を受けた総務課長はすでにゾンビー化していた
受付の女の子の不倫相手の常務が実はゾンビーの親玉だった
受付の女の子が絶体絶命の大ピンチ！
受付の女の子を助けに駆けつけた取引先の営業マンはマンドリル
受付の女の子はマンドリルの鼻のところの色の鮮やかさにしびれる
受付の女の子を巡るゾンビーvsマンドリル
受付の女の子は(中略)として(後略)
FIN