雨の日の思い出日記

当時小学生だったと思うのだけど、雨に濡れながら自転車に乗っていたら営業バンみたいなのが通りがかってバシャーンと水溜りの水を撥ね上げて全身びしょ濡れになった。子供ながらに心底むかついたので、自転車でその車を追いかけた。信号かなんかで停止したその車に追いつき運転手に水をぶっ掛けられた旨を伝えた。その時どういう対応をされたかもう忘れてしまったのだけど住所と名前を聞かれた。翌日だったと思うのだけど、家に運転手のおっさんともう一人おっさんが謝りにやってきた。なんかデカイ箱を持って。
お中元とかお歳暮とかを大人が持ってくると、一個ぐらいはおもちゃじゃないかと淡い期待を抱きつつ包装紙を剥いて缶詰やら油やらが出てきていつもガッカリしていた。だが今回は違う。今日こそは大人同士ではなく子供のためにやってきたのだから、あの箱の中身は超合金とかボードゲームに違いないと確信があった。箱が軽かった。ボードゲームですらないことが瞬時にわかったのだけど、それでもおもちゃだと信じて疑わなかった。玄関先で話をする大人たちを尻目に箱を抱えて奥の部屋へ行って早速包装紙を破ると、中から出てきたのはバスタオルだった。この世の終わりぐらいのガッカリっぷりだった。
おっさん達が帰ったあと母ちゃんに、なんでおもちゃじゃないんだ!と不満とぶつけたところ、あの人たちはウチの取引先の人なんだから、あれはお前に持ってきたんじゃなくてお父さんに持ってきたのだと言った。よく意味がわからなかったけれど、スネオが親宛てでいろんなものを貰ったりしてるのと似てるから自分がスネオになったみたいで余計悲しかった。
今になると、水掛けたお詫びにバスタオルってトンチが効いてるって思う。