おかえりなさいって塩を振り掛ける

義理で葬式に行ってきた。
葬式に行くと必ず一人ぐらい喪服美人がいて禍々しいオーラを放っている。いや、禍々しくはないんだけれど勝手にドキドキしてしまうオーラが出ている。なんなんだろうあの喪服の魔力。確かに女性がコンサバティブな格好をしていると格好いいと思うのだけども喪服姿は段違いに綺麗に見える。普通のスーツがサイヤ人だとすると、喪服姿はスーパーサイヤ人ぐらいの差がある。いや、普通のスーツがチビマリオだとすると、喪服姿は星取ったマリオぐらいの無敵モード入ってる気がする。下手をすると下着姿とか全裸に勝るとも劣らない色っぽさがある。いやいや、いくらなんでも全裸よりもっていうのはないか。無敵マリオだって溝には落ちる。なんだか意味がわかんなくなってきた。
そんで、あの慎ましやかな喪服美人が「いけませんわ」と口では言いつつやがてどうのこうの、という三文官能小説みたいな妄想がちっとも顔を出さない。葬式の空気がそうさせてるんだろうけど、別の状況を想像してみても喪服には下品さを封印するだけのチカラがあるように思う。もしもオンナのコが合コンに喪服姿で現れたなら確実に惚れる。ポッキーゲームをやったとしても、たぶん一齧りも進められないぐらい惚れる。ソファの隣に座って接客するような店のオンナのコが喪服着てたら惚れる。指名とかできなくて違う客と談笑するそのコを観葉植物の陰からそっと見守るぐらい惚れる。なんだか臆病なストーカーみたいだけれど、遠慮のカタマリになりつつ頬を染める。
メイドの次は喪服じゃないかと控えめに提案したい。