インザダーク

月も出てない闇夜に遭遇した恐ろしい話。
明るい建物を出て駐車場に行き車に乗り込もうとしたのだけど目が闇に慣れてなくてドアのハンドルが見えないのでペタペタと車を触ってようやくハンドルに手が掛かった。やっとドアを開けたのだけどルームランプが壊れてて暗くて全然車内が見えないまま乗り込んだ。キーを挿そうとしてステアリングに手を伸ばしたらステアリングがない。代わりに短い毛みたいなものが手に触れ全身に鳥肌が立った。恐くなってすぐに手を引っ込めた。
恐る恐るもう一度手を伸ばしてみたら壁みたいなものに手が当たった。それはやっぱり短い毛みたいなもので覆われているようだった。その感触はどこか身に覚えがあるものだったのでそーっと触り続けてみたらそれは運転席のシートだった。短い毛みたいなものはシートのファブリックだった。ようするに運転席の真後ろの後部座席に間違えて座ってただけだった。独りで。暗がりで。びびりながら。ちょこーんて。あほか。