ないないシックスティーン

こんなもの失くすわけがないだろう持ち歩くわけでもないのにというモノが見当たらず、ずっと机の上やら引き出しの中を探しているわけなのだけれども、一通りがたがた探しても出てこないのでつい「ドラえもーん」と泣きつきたくなる。もういい大人なので声は小原乃梨子さんの方でお願いしたい。そんなふうに叫んだとしても机の引き出しがガラっと開いてドラえもんが出てきてくれるわけでもないし、よしんばドラえもんが出てきたとしても独裁者スイッチしか持っていない状態ではちっとも役に立たないのでここはひとつ冷静になって、もしドラえもんが登場したらどんな道具をポケットから出してくれるのかを考えてみた。ちょっと考えてみたのだけれどすぐ面倒になったのでネットで検索してみたら『なくしものとりよせき』というものがあると判明したので安心した。これで失くしたアレをイメージすれば取り寄せてくれるらしい。よかったよかった。しかし失くしたモノが実際に出てきたわけではないのだから安心している場合ではないことにもういい大人なので気付いたので捜索を続行したのだけれども一向にヒョッコリ出てくる気配がない。
仕方がないのでさっき調べたところをもう少し念入りに調べることにしてまた引き出しなんかをガサゴソやってるときにふと思ったのだけど、Googleにはデスクトップ検索という非常に便利な機能があるけれども、あれの拡張版として『デスク検索』というのがあればいいのではないか。あの細っこい四角の中に「青い 四角い ソケット」とか入力して検索ボタンを押すと、机の近くにある検索ワードに該当するものへ向けてモニターから光の筋がピューって、飛行石がラピュタを指し示すような感じで飛び出るといった具合で。そこらのモノを篩いにかけるわけだから最初は画面全体が凄まじい発光をするはずなので実行前には、1. おへやをあかるくしてね。2. テレビからはなれてね。3. もし、きもちがわるくなったら手のひらで片方の目にふたをして、画面から目をはなしてね。のようなアナウンスが必要であろう。
とかなんとか細かいことを気にする前に、WEBカメラみたいなもので360度の風景を取り込まない限り死角ばっかりで困るし何かの陰に隠れていたり下へ潜り込まれたり本に挟んであったりするとそうそう見つからないので、パソコンには頼らずいっそのことGoogle特別捜索部隊(通称Gメン)みたいな感じの連中を派遣したほうがいい。トレンチコートにボルサリーノといったいでたちの屈強な男達がヘリかなんかでやってきて探してくれるわけなのだけど、報酬をどういう形態にするかで問題が出る。探偵とか興信所のような費用がかかってしまっては誰も使わないのでやっぱり広告収入に頼るかたちの方がそれっぽい。幸いにしてトレンチコートを着ているのでそこへプリントしてもらえばいい。襟元が一番高くて続いてベルト、胸元、裾とかそんな順番で格付けをすればいいんじゃないかとか思っていたときに、視界の端に青くて四角いソケットが飛び込んできた。