港を出てゆく船のようだね

割と深刻な内容だったとしてもそれが具体的な相談ではなく「こんなことがあったんだよね」といった類である決着済みの話を気になるあの娘から聞いた男の大多数はおそらく、よし俺がなんとかしてやる!などと鼻息荒くなったりするものだと勝手に決め付けている。
バカめ。バカな男どもめ。
たとえその話が現在進行形であろうとも「こんなことがあったんだよね」的なニュアンスの話であるなら、それは助けを求めるサインでもなんでもないということにして、聞いているということがこの会話を通した関係の必須条件なだけなのだと勝手に決め付けている。
バカか?俺はバカな男なのか?
まあとにかく事実は小説よりなんちゃらと言われる通り、様々な事象を抱えながらみんな生きているもので、涙で目がうるうるなってマスカラが落ちて多少目の周りがクマドリのようになりながらの激白だったとしても、あくまで平静を装って「そっかあ。おまえがんばれよ」と励ましの一言を掛けてとりあえず済ませることにしている。心臓が破裂しそうなぐらい驚いてコッチまでうるうるしてたとしても。で、最終的な会話の着地点として「どうにもなんなかったら尻はヌグッてやるからこっち持ってこい」と意味不明な安請け合いの言葉で締めくくろうとしたら「あんたに触らせる尻はない」とそこに過剰反応して例のクマドリ顔のまま大見得をきるのである大多数の女性は。