匂うらしい

同級生と飯を食いにタイ料理の店にいった。二人とも高濃度な顔をしているから店員(もちろん向こうの人)から「サワディカー!ナントカカントカー!」とタイ語のみで話し掛けられて注文すらできないんじゃないだろうかと少し心配だったのだけれども、とりあえず日本人という認識をしてもらえたようで日本語で注文を聞いてくれてホッとした。トムヤムクンに辛さが足りなかったので「もうちょっと辛くしてください」と頼んだら、ビニール袋に入れて輪ゴムで口を縛って持ってきた。どうしたことかと思ったら「持ち帰りたい」と言われたのだと思ったそうだ。再び厨房に下げられ三度目に出てきたトムヤムクンは充分に辛くてとても満足だった。
同級生は世間的に『なかなかいい娘さん』といったようなポジションのはずなのに結婚していなくて誰かいないかなと言っていたりするので見合いとかしたか聞いてみたところ数年前にしたという。相手はかなり大きな会社の息子さんだったそうなのだが、一目見ただけで性的に難アリという気がしたという。巡り巡って聞いた話でその直感は正解だったという。その彼が先日結婚したそうなのだがどうやら偽装らしく江國香織のあの小説のような話が現実に存在するんだということだった。世の中はなかなか複雑な仕組みでできている。