どうしようもない家族のどうしようもない物語

あれこれ処理しきれずに溜まってゆく感情の反吐みたいなものを吐き出したいとき、思い切り叫ぶか、怒るか、泣くかするとスッキリするわけで、他人に迷惑かけない作法としてはひっそり泣くことが選択肢として適切なものだから「あんまり有名じゃない泣ける映画知らない?」とトモダチに聞いてみたところ、タイトルに『南極物語』と書かれた本文なしのメールが届いた。

南極物語はなかったことにして過ごしていたら後日、リトルミスサンシャインを勧めるメールが届いたので借りてきて観た。あらすじを説明すると、それぞれ難癖がある家族がミスコンテストに出場する娘のために一肌脱ぐというようなストーリー。それぞれがそれぞれのあれこれを克服してゆき、娘のイベントをキッカケに成長してゆく物語だと思ったら大間違いで、そういう部分でのお涙頂戴映画ではない。どうしようもないことはどうしようもないという潔い映画というか叙事詩だった。そんでオチが酷いというか伏線がとんでもない格好で回収される。
くっだらネと言えばそれまでだけど、描ききらないところで観る人間の弱ってるところを優しく包むというか、ばかばかしい中に柔らかい光が仕込んであるというか、受け手の状態で解釈とか感じ方が変わるっぽいヘンテコな映画だった。結局バカ笑いして反吐は吐き出せた。

おまけ

このまえ飲み屋で映画の話をしてたときに同行者が「最後に映画館で観たのはトップガンだよ」とか言ってたときにオンナノコが「トップガンってどんな映画ですか?」というのであれこれ説明してたんだけど、いろいろ話をしてるうちにそのコが生まれた年に上映された映画だってことに気付いてビビった。そういうところで気付かされるおっさんっぷりって、なんだかせつない。