俺とWBCの長い一日

ちょっと手が空いたものだからってアンテナに登録したダイアリを片っ端から読み漁っていたら思いがけず時間が過ぎてしまい寝るのが遅くなって今朝は大人として恥ずかしい寝坊をしてしまった。大人であるなら寝坊ではなく寝おっさんと呼ぶべきか。若しくは寝爺とか。
午前中に打合せの約束をしていた先方から携帯電話に連絡が入り着信のバイブで目覚めて約束の時間を30分をずらしてもらい出社。たかだか5分ばかりの通勤の最中に別件で連絡が入り会社に着いて用件を済ませたところで今度はまた別の件で連絡が入る。いまだかつてこれほどまでの繁盛期を体験したことがなく物事の優先順位が把握できなくなってきている。とりあえず先に手を放した方が本当の母親なのだろうなとは思う。約束の時間ギリギリになりようやく会社を飛び出て打合せに。「遅くなってすみません」と謝ると「お忙しいところすみません」と厭味を言われたので「貧乏暇なしってやつでございまして」と金太郎飴的な返事でお茶を濁して本題へ。そうなのだ今日は報酬の交渉に来たのだ。おまえワセリン塗っただろと言わんばかりに変態的な曲がり方をするスライダーのような交渉術でもって希望の報酬金額が了承された。
会社に帰ったら業者が見積書を持って来社。その場でチェックしたら胡散臭い部分も見受けられなかったので内容を再確認にして正式な文書で持ってきてもらうようにした。昼休みまでもうすぐだったのだけれどもやらなければならないことがあったので鬼神の如くキーボードを叩いて役所へ提出する書類を作成した。キーボードをガタガタと音を立ててタイプしたりドアをバタンと音を立てて強く閉めるような男はセックスも乱暴だと誰かが言っていた気がするのだが誰だったのか思い出せない。桃井かおりさんは国内線を利用する際、離陸直後にますの寿司を食べ始めるのだそうだ。飛び立った瞬間にプンと酢飯の匂いが鼻をつくものだから隣の人が振り向いてくるそこですかさず「おひとつどうぞ」とお裾分けをして仲良く機内を過ごすのだそうだ。手練手管とはこういうことを言うのではないだろうか。書類は間もなく仕上がった。
昼休みの半分が過ぎてしまったが午後は予定があったので抜くわけにもいかないのでマクドナルドへ行って簡単に済ませることにした。店内は春休みということもあって小学生とその母親で賑わっておりだらだらと蛇行する列の最後尾に並んだ。やがて順番が来て「ご注文をどうぞ」と言われてレジ係りに目をやると僕の苦手とする顔をした妙齢の女性であった。どうにもあのテの顔の人とは相性が悪い。このまえ行ったおっぱいパブで二番目にやってきたオンナのコもああいう顔をしていたので「あ、なんかやだな」と思っておっぱい抜きでお喋りをしたのだがこれがまた盛り上がらなくて気まずい時間を過ごしたりした。仕事だからか「ねえ、いいの?」とおっぱいを揉むよう促されたので仕方なく衣服を剥ぎ取ったらイソジンの匂いがしたので彼女の源氏名は『イソジン』に決定した。父親はきっと河馬みたいな顔をしているに違いない。やがて時間が来て次に来たコが「昨日からバイトを始めたんです」と初々しい19歳のかわいらしいオンナのコだったので夢中で揉んでいたら、警察官の方々が入店してきてその場で事情聴取をされたと先輩が言っていた。たぶんこのマックの店員はそのイソジンさんに似てるのだと思う。
注文しようと口を開けかけたときバリューセットを買うとWBCのクリアケースを貰えるという垂れ幕のようなものが目に飛び込んできたので思わず「バリューセットください」と言ってしまった。イソジンさんが「どのセットになさいますか」と見下げるような視線を寄越したので「チ、チキンの」と半べそで告げた。横へ避けて待てと言われた通りに待っていると別の店員が「おまたせしました」と紙袋を渡してきた。あっ、と思ったのだが注文の仕方が悪かったのか品切れだったのかクリアファイル進呈の件は有耶無耶にされてしまった。WBCには縁がないのだと諦め試合のことも忘れて会社へ戻ることにした。しかしまあオートマチック車というのは片手で運転できるような車であるので会社に戻るまでの道すがら袋に手を突っ込んでポテトを齧っていたら到着する頃には空になってしまった。塩気が強くて上顎がベロベロになってしまってもいた。それでもバーガーをパクついて昼飯を済ませ、さきほど作った書類を携えて外出した。
客先に行って書類に印鑑を貰った。中の様子を見なければならなかったので上がらせてもらったらちょうど9回裏1アウトの場面であった。勧められるまま茶を啜りテレビ観戦をさせてもらった。あと一人という場面で大声を上げそうになりつつ見守っていたら同点に追いつかれてしまい延長戦に突入したのでキリがないと思いその場を後にした。車中気になってラジオを点けてみたのだけれど高校野球の実況中継しか流れてこないので諦めて次の目的地に行った。法務局だ。駐車場に車を停めてtwitterを眺めてみたら「ここでイチロー」とあった。どうやらチャンスっぽいところでイチローの出番らしい。急いで用を済ませようとしたのだが、印紙の売り捌き所でチャラい司法書士が阿呆みたいに印紙を買っていてレジ係りも仕事がノロくなかなか順番が回ってこなかった。くねくねしている司法書士のケツを思い切り蹴り上げたい衝動を抑えつつ「で、イチローはどうなった?」というようなことをtwitterの川の流れに放り込んだら「すごいダンクシュート決めた」というような返答がありそいつの顔に正面から両膝で飛びついてクルッと回ってフランケンシュタイナーをお見舞いした挙句、顔面騎乗で一発吐き気がするほど臭い屁をかましてやりたいと思ったので「韓国チームの健闘を讃えてキムチでも食べたらいかが」と返事をしておいた。スーパーで売ってる叙々苑のキムチはあまり美味しくないよね。
邪魔臭い司法書士が窓口から退いてようやく順番が回ってきたので2秒で用事を済ませて次は市役所へ行った。確か住民票とかの窓口のある待合にテレビがあったはずと思い出し早足でテレビ前に辿り着くと日本の選手がなにやら抱き合ったりしていた。韓国の選手はドジャースタジアムの土を袋に詰めていた。イソジンの呪いか運悪く日本国民とその感動を分かち合うことができなかったのでこれはもう非国民と呼ばれ石を投げられるやもしれんなと思ったのだが、それでも戦争に賛同することなど到底できないと思った。市役所で用事を済ませて次は県の庁舎に行き事務機屋に行き、乗り遅れた感だけをひしひしと感じながら会社へ戻り別の資料を取って地域なんやらの役員の家に行き業者と打合せをして定時になった。出掛けてばかりだったので机仕事が何も進んでおらず、クヨクヨしながらモニターに向き合っていたら今日はもうダメだなとか思い始めたので通常業務を切り上げて副業というか去年から手を出している仕事をしてみたのだけどやっぱりどうか上の空になってしまうので、こうして日記などを書いてみたりしている。いざ書いてみるとWBCとか割とどうでもよかった。いままで見てなかったし。